2013年5月13日月曜日

扁桃を摘出する手術を終えて

 去る2013年4月30日に扁桃摘出手術を行いました。これから扁桃(正式には口蓋扁桃)を切除しようとする方にも参考になるかと思い、以下に手術前日からの経緯を纏めてみました。

口蓋扁桃:口蓋垂の両脇にあるリンパ組織の塊

1.扁桃摘出手術を決断する至るまで
 私は、10年前位から、ほぼ年に3回~5回位、扁桃を腫らして約40度以上の発熱を引き起こすことを繰り返していました。最初のころは、単に喉の痛みを原因とする風邪であると思っていたのですが、やがて慢性扁桃炎という病気であることを医師に告げられました。扁桃炎の治療は、基本的には、抗生物質(錠剤、点滴)の投与により行われます。しかし、年に複数回の扁桃炎を引き起こす慢性扁桃炎となると、根本的に治すには、扁桃を摘出する手術以外ないと医師に告げられました。
 そこで、約5年前位に、一度は扁桃摘出手術を行う決意をしたのですが、そのころ私の仕事が繁忙であったためタイミングが合わず、手術を行わずじまいでした。そして、今年になって、やり残した手術の事をふと思い出し、半ば衝動的に手術の予約を行いました。

慢性扁桃炎:口蓋扁桃が、頻繁に炎症を繰り返し、高い発熱を引き起こし、ひどい炎症を生じて膿がたまったり、肥大する現象

2.手術までの準備
(1)手術の予約
 手術を行う病院にもよりますが、およそ数か月前位予約をした方が確実かと思います。私の場合は、ゴールデンウイークを利用して手術をしようと思っていましたので、2月下旬に病院を訪問しました。そして、その日のうちに、手術日は4月30日(火)に決定しました。

(2)事前の血液検査
 手術は、喉にある扁桃を囲う被膜を剥離して、扁桃を摘出するものですので、出血が避けられません。このため、出血が止まらない等の不測の事態に備えて、輸血等の準備も予め行っておく必要があります。そこで、事前に、血液を採取し、これを検査します。この検査は、私の場合、手術日の約1週間前に行いました。この時、併せて執刀医師から手術、処置、検査等の診療行為に関する説明が行われ、輸血同意に関する説明も行われました。

(3)手術前日の準備
 夕食までは摂取することはできますが、21時以降は絶飲食が強いられます。私の場合、手術日4月30日の前日の4月29日の20時には、入院手続を行いました。そして、その夜から翌日の手術に備えて、栄養補給と抗生物質の点滴が行われました。
 手術前に準備するものとして、バスタオル、浴衣、T字帯(手術が長引いた時に尿等の排泄物を排出するのに利用)およびティッシュ(手術後に喉から多量の唾液が出るのをふき取るため)が指示されます。
 手術前夜は、同じ部屋にいた子供のいびきがうるさくて、私は全く眠れませんでした。手術当日の朝に看護師が「昨夜は眠れましたか」と聞いてくれるのですが、いびきを発した少年以外の皆が「全く眠れませんでした」と答えていたのに対して、少年ただ一人だけが「はい、よく眠れました!」と元気に答えたのにはびっくりしました。しかし、眠れようが眠れなかろうが、手術はもうすぐです。数時間後には、自分の扁桃が手術台の上で摘出されているのです。そんなことを少しビビりながら頭の中で想像していました。

3.手術当日(4月30日(火))

(1)口蓋扁桃摘出手術
 手術時間は、事前に約30分~2時間程度と伝えられていました。私の手術開始時間は、10時に決まりました。前日に伝えられていた時間は、11時だったのですが、急遽変更になりました。このため、心の準備もままならないまま、手術室まで、点滴キャスターともに徒歩で向かいました。
 そして、いよいよ自ら手術台の上に横になります。目の前には、よくドラマとかで撮影される大きな手術用照明灯が2つも・・・いよいよかと、大変緊張しました。
 手術自体は、全身麻酔をかけられて行われますので、本当にあっという間でした。手術台に体が固定されると、直ぐに全身麻酔がかけられます。最初は、口から試験的に麻酔を吸わされます。少し意識が遠のきますか?との質問を受け、「はい」と答えた後、さらに麻酔を吸いこむようにいわれたら、そのまま意識がなくなり、気づいたら手術室の外にいました(笑)。そこで、摘出した2つの扁桃を見せられましたが、はっきり覚えていません。手術は12時半位には終わっていたので、手術時間は約2時間前後だったのではないかと思います。

口蓋扁桃摘出手術:この手術では、開口器を口にひっかけて、扁桃を引っ張り出して、扁桃の周りの粘膜を切り開き被膜を剥離して、左右で2つの扁桃を摘出します。そして、止血用の綿を扁桃摘出部におきながら、電気メスや結紮により止血します。

(2)手術後
 そして、担架に乗せられたまま、病室のベッド上に戻され、そのまま、栄養補給と抗生物質の点滴が引き続き投与され、さらに血止め剤が血液を介して投与されました。
 手術は予定通りに終わったためなのか、幸いにもT字帯は使用されませんでした。すなわち、小水に管が入っていませんでした。看護師に世話をされて排泄をする。恥ずかしいだろうけど、まあ、一回位経験してもいいかななどとそれなりの覚悟していたのですが、その覚悟は無駄になりました。
 また、血栓予防のため、きつめのストッキングと空気圧を利用したマッサージ機が両足に取り付けられていました。さらに口には酸素マスクが取り付けれれていました。
 手術後約2時間後位経つと、麻酔が完全に切れて、喉に違和感を感じるようになります。そして、止まることなく、喉の奥の方から血が混ざった唾液が流れ出てきます。これをティッシュで拭きとりながら、食事もせずにひたすらベッド上で安静にしていました。その間、3回位、体温、脈l、血圧、呼吸などの計測が行われました。
 手術日の夜は、手術前日に凄いいびきを発していた少年は、ベットごと別室に移動していました。この夜は、喉の痛みがあるためあまりよく眠れななかったものの、静かな夜を過ごすことができました。

4.手術後1日目(5月1日(水))
 この日の朝まで酸素マスクと点滴と血栓予防の処置は引き続き継続されました。また、喉の奥に血止め用の綿を固定するために取り付けられていた糸を、医師に抜糸してもらいます。医師の診察を受ける前に、酸素マスクと血栓予防の器械が外されました。
 喉の調子はというと、鼓膜に響くほどにジーンと痛いです。また、手術で喉を切ったことによるためなのか、38度位に発熱してしましました。布団のなかでじっとしていても、寒気がして非常につらい思いをしました。
 この日の夕食から、食事が支給されますが、完全な流動食でした。痛み止め剤(シロップ)を食前に飲んで、何とか食べれる感じでした。
 この日の夜、なぜか、手術前日に凄いいびきを発していた少年がベットごと部屋にも戻ってきました。看護師に話を聞くと、少年がその両親に甘えることでぐずるため、他の部屋に一時的に移動してもらったとのことでした。今夜はまた眠れないのか・・・と心配になりました。しかし、この夜は、少年のいびきはほとんど発せられませんでした。どうもこの少年も扁桃を摘出したようです。つまり、この少年のいびきの原因は肥大した扁桃だったようで、この少年も私と同じように扁桃を摘出することで、いびきがなくなったようです。
(夕食)



5.手術後2日目(5月2日(木))
 栄養補給および抗生物質の点滴は引き続き投与されました。喉の調子は、前日とほとんど変わらず、特に左側が鼓膜に響くほどに痛かったです。また、発熱も収まらず、37度後半~38度前半の体温でした。このため、この日も一日中、布団の中にいても寒気を感じていました。
 食事は、3分粥になりました。

(昼食)



(夕食)



6.手術後3日目(5月3日(金))

栄養補給および抗生物質の点滴は引き続き投与されました。喉の調子は、相変わらず、左側が鼓膜に響くほどに痛かったです。また、発熱も収まらず、38度前半の体温でした。このため、この日も一日中、布団の中にいても寒気を感じていました。3日目にもなると、体調がいい方は、お風呂に入ることができます。一方、私は、発熱していたため、お風呂に入る許可が下りず、大変つらい思いをしました。
 食事は、5分粥になりました。徐々におかずらしいものも増えてきました。魚などは、一口大に切断されており、食べやすくなっておりました。しかし、これらの食物は喉を通るたびに激痛を引き起こすものでして、この時期の私にとっては大変やっかいな食べ物でした。

(朝食)




(昼食)



(夕食)

7.手術後4日目(5月4日(土))
栄養補給および抗生物質の点滴は引き続き投与されました。喉の調子は、徐々によくなりつつありました。しかしながら、相変わらず、喉の左側が痛かったです。
 一方、この日の夜、ようやく、発熱がおさまり、36度台の体温になりました。そして、この日の夜、ようやく点滴が外されました。このタイミングで、お風呂に入る許可を得ようとしたのですが、残念ながら、許可は下りませんでした。
 食事は、全粥になりました。前日と異なり、多少喉の痛みを感じながらも、徐々に食物をおいしく食べれるようになりました。

(朝食)


(昼食)

 (夕食)

















8.手術後5日目(5月5日(日))
 いよいよ退院前日となりました。
 この日は、読売ジャイアンツの長嶋茂雄氏と松井秀喜氏の国民栄誉賞の授与式が東京ドームで行われれており、その模様をテレビを介して見守りました。
 昨日までの点滴から、錠剤の抗生物質が投与されました。喉の調子についてですが、なかなか喉の左側の痛みが抜けません。前日よりも痛みは無くなりましたが、痛み止めがきれると、喉に痛みが生じます。
 昨日、発熱がおさまったため、この日やっとお風呂に入る許可が下りました。5日ぶりのお風呂でしたが、30分という時間制限の中での入浴で、あまりゆっくりできませんでした。
 この日、医師の診断があり、予定通り、明日5月6日の退院が決まりました。
食事は、全粥です。

(朝食)


(昼食)



(夕食)














9.手術後6日目(5月6日(月))退院日
 いよいよ退院日です。
 錠剤の抗生物質と痛み止め剤の投与が続きます。喉の調子については、前日と変わらず、痛み止めがきれると、喉に痛みが生じます。
 午前中には医師の診断があり、退院が確定しました。
最後の食事(朝食)は、全粥でした。
 その後、実家に帰り、その日の昼食は、スーパーの総菜(豆腐と卵の炒め物)を食べ、夕食はすき焼きを食べました。

(朝食)














10.手術後7日目(5月7日(火))~手術後12日目(5月12日(日))
 会社に出勤もし無事社会復帰しました。
 投与薬については、手術後9日位までは錠剤の抗生物質と痛み止め剤を飲んでしましたが、それ以降は一日3回の痛み止め剤のみとなりました。
 また、食事をするとき以外の平常時は、喉の痛みを感じなくなりました。一方、寝起きの際や食事の際には、まだ、喉の痛みを感じます。
 平日の昼食は、社食ですが、喉が痛くて米飯を食べることができず、おかずとヨーグルトを食べました。夜は、お茶漬けを中心に、豆腐やハンバーグなど比較的やわらかめで小さくして食べれるものを食べました。

11.検診日(5月13日(月))
 退院後、初めての検診を受けました。まだ、食事をする際に痛みが残りますが、手術直後と比較すると痛みもかなり和らいできました。
 検診の結果はというと、左喉のカサブタはまだとれていないけど、右喉のカサブタはすでにとれており、良好とのことでした。喉の違和感を訴えましたが、あと1週間もすればなくなるとのこと。信じたい・・・

12.手術後14日目(5月14日(火))~18日目(5月18日(金))
 痛みは徐々になくなりました。18日目あたりになると、痛み止め剤なしでも食事ができるレベルまで回復しました。一方、喉の違和感はいまだに無くなりません。常に喉の奥の方から唾液が少しずつ出てきていて、なんかタンのようなものが常に喉の奥に付着しているようで、なんとも言えない不快な感じがします。また、あくびなどをすると、喉に張った感じが顕著になり、違和感が最大になります。

13.手術後19日目(5月19日(土))~26日目(5月26日(日))
 喉の痛みは全くなくなりました。また、少し前まであくびをすると喉に張りを感じていたのですが、それも全くなくなりました。また、扁桃を摘出すると、扁桃が喉にあった頃と比較すると喉の開口が大きくなります。このため、少し前まで、扁桃が喉にあった頃の感覚で水等の飲料を勢いよく飲み込むと、飲料が鼻の方へ抜けることもありました。一方、最近は自然に飲料を飲みこむ度合いを体で身につけることができたのか、飲料が鼻に抜けることも全くなくなりました。ビールも喉をごくごく鳴らして飲めるようになりました。ただ、以前は、飲料が喉を通過する際に扁桃の揺れを感じていたのか、喉越しの感覚は、扁桃があった頃とは明らかに違います。これも慣れなのか?

14.手術後約半年後(11月9日(土))
 喉の痛みや違和感は全くありません。食事も全く違和感なくできています。以前、ビールの喉越しの感覚を気にしていましたが、これも今では全く違和感ありません。 そして、何より扁桃を腫らして40℃以上の高熱を出すことは、全くなくなりました。この手術をした後は、体力的にも多少無理もできるようになりました。
 私にとって、この扁桃切除手術をしたことは、新たな挑戦のきっかけになりそうです。

15.手術後約半年後(11月22日(金))
 
 扁桃切除手術をして以来、初めて風邪を引きました。しかし、体温熱は37.4℃でおさまりました。扁桃を切除していなかったら、恐らく体温熱が40℃以上になって、また抗生物質の点滴等のお世話になっていたことかと思います。
 私は、普段からジムに通い、スタジオプログラムや、マシーンを使った筋肉トレーニングや、ランニングマシーンを使ったランニングや、プールでのスイミングを行っています。11月22日(金)にもスイミングをしたのですが、その際若干の寒気を感じましたまま、そのまま強引に泳ぎ続けてしまいまいた。自宅に帰った後、部屋の暖房を30℃に設定しても、異常なほどの寒気を感じる状態になっていました。
 症状としては、若干の喉の痛みがあることと、鼻水が止まらないこと、そして寒気でした。早速、体温熱を測ってみたところ、37.4℃でした。直ぐに、薬局にいって市販薬(2種)を購入して、布団を多めに掛けて早めに寝ることにしました。
 翌朝、布団を多めにしたためか、多量の汗をかきましたが、体温熱は36.4℃まで落ちていました。その後、喉に若干の違和感を持つつつも、体のだるさも抜け、普段通りの日常に復活しました。
 このような体の復活具合をみると、やはり扁桃を切除して良かったなとつくづく思います。扁桃を切除していなかったら、前述の通り、間違えなく抗生物質の点滴等のお世話になっていたことと思います。そして、2、3日は寝込んでいたでしょう。それが、たった1日で回復するなんて、これまで経験がありませんでした。

また、随時、必要に応じて、経過報告を追記したいと思います。