2015年7月26日日曜日

コンピュータ帝国の興亡 ロバート・X・クリンジリー(著) 藪 暁彦(訳)

コンピュータ帝国の興亡―覇者たちの神話と内幕〈上〉 (Ascii books)コンピュータ帝国の興亡―覇者たちの神話と内幕〈上〉 (Ascii books)
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コンピュータ帝国の興亡―覇者たちの神話と内幕〈下〉 (Ascii books)コンピュータ帝国の興亡―覇者たちの神話と内幕〈下〉 (Ascii books)
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 コンピュータ帝国の興亡 ロバート・X・クリンジリー(著) 藪 暁彦(訳)を読みました。 

 20年以上も前に発行された古い本ですが、今日のコンピュータ産業がどのように形成されてきたかを知るには、大変参考になります。

 著者のロバート・X・クリンジリーは、1953年米国オハイオ州生まれのコンピュータ業界で著名なジャーナリストで、コンピュータ雑誌「InfoWorld」でコラムを出筆されていました。

 この本では、特に1980年代のビル・ゲイツや、デビッド・パッカードとウィリアム・ヒューレットや、スティーブ・ジョブスなどの若き日の起業に向けた情熱を、熱く語っています。

 コンピュータ産業において、マイクロソフトやアップルがどのようにして生き残ってきたのか、ロータス123で有名なロータスがどのようにして消え去っていったのか等の歴史を、主要な人物間のやり取りを交えて詳しく教えてくれます。
 
 とくに、ハッカーやコンピュータおたくと呼ばれた若者達が、世界一のハードウエアメーカのIBMを翻弄させる成り行きは、非常に興味深く読むことが出来ました。

 著者は、最後に、「アメリカのコンピュータ産業に残されるのは、高性能な半導体とソフトウエアだけという状況がやって来る」と述べています。現に、今生き残っているのは、アップルやマイクロソフトのように、高いコンセプトを示すソフトウエアと、最先端のハードウエアを提供する会社だけである。

 一方で、著者は、マイクロソフトに対しては、結局、最新のソフトも全てMS-DOSの添加物であり、いわば古い技術革新の波を抱えたまま新しい波に乗り移ることを繰り返しているので、いずれその負担が大きくなり、失敗することになると、警告しています。そのような日が近年に来るかも知れません。そして、新たなビジネスチャンスに向けて、第二、第三のビル・ゲイツやティーブ・ジョブスが既にこの世界のどこかで生まれ、熱い情熱を持って企業を企てているのかも知れません。

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