2014年10月6日月曜日

「あぶく銭師たちよ!-昭和虚人伝」佐野眞一 著

あぶく銭師たちよ!―昭和虚人伝 (ちくま文庫)あぶく銭師たちよ!―昭和虚人伝 (ちくま文庫)
佐野 眞一

筑摩書房 1999-01
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 「あぶく銭師たちよ!-昭和虚人伝」佐野眞一 著 を読みました。


 佐野 眞一 氏は、1947年(昭和22年)1月29日生まれのジャーナリスト、ノンフィクション作家です。主な受賞歴は、大宅壮一ノンフィクション賞(1997年)、第31回講談社ノンフィクション (2009年)。代表作としては、「東電OL殺人事件」などがあります。

 この「あぶく銭師たちよ!-昭和虚人伝」は、昭和のバブル時に、巨額の富を掴んだ6人の男女を特集しています。

 リクルート創業者の江副浩正、地上げ屋の早坂多太吉、大殺界占い師の細木数子、フジサンケイグループの鹿内春雄、虚飾のデザイナー斎藤都世子のそれぞれの実像をあぶり出しています。

 佐野氏の著書の特徴的なところは、徹底した取材に基づく詳細な事実説明と、複数の話題を時系列でなく同時に進行させる複線的な記述法かと思います。本書でも、随所に、複雑に絡み合う人間関係を円滑に捌き切り、非常に分かりやすく編集されています。

 最後に、佐野氏が「文庫版のためのあとがき」に寄せた「バブルの時代」について、引用します。『昭和末期から平成にかけて日本列島を襲った「バブルの時代」とは、人間の生活の中心に現金が据えられ、金の前では人の命もなにもかもが羽毛のように軽くなった時代だった。あの時代、政治家から官僚、経営者から庶民にいたるまで拝金思想に凝り固まった。「清貧の思想」などというつもりはさらさらないが、貧しさにも「功徳」があることを、かつての日本人は本能的に知っていた。家に金がなければ泥棒にも入られる心配もなく、戸じまりする必要もない。日本人はついこの前までそのことを知悉し、かつ実践していたのである。』『「バブルの時代」とは、一億日本人が熱病のような拝金思想に冒された、狂った一ページだった。』
 
 
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